自惚れ、アディクト
「珍しく長続きしてるやん」

永遠が俺を見ながらサンドイッチを頬張った。「ン?」と、視線だけ寄越して、シロップなしのアイスカフェラテを口に運ぶ。

その横から、(しゅう)が顔を覗かせた。


「それ、思った。一年経つんだっけ?大学生の彼女だろ」

ああ。初花(ういか)のことか。

「まあね」

「うわ〜〜…。なんか、言い方えろ……」

「どこがやねん」


間髪入れず、永遠が突っ込んだ。
さっきまで「彼女と別れたんだよね」と、淡々と話していた愁が金髪を掻き上げて「だって」と、同じトーンで続ける。


「年上彼女いいじゃん。包容力あって、優しくて、大人って感じで憧れる」

「オマエの理想はどうなってんだよ…」
「愛央ちん、ほっとこ」
「オレ、変なこと言った?」

アイドル顔負けの端正な顔立ちが、目の前で小首を傾げた。清涼感だけでなく天然属性もある。

眩しいからこっち見んな。

「あ…そうだ……」

「今度はなに」


ぽつりと呟いた爽やかクンの独り言を掬う。
飲み干したアイスカフェラテの苦味が喉奥に溜まり、腹のなかが重たい。深く座った椅子に背凭れて、足を組み替えした。


「実は、四組のやつらにカラオケ誘われてて。相手が櫻都(おうと)の子なんだけど……さ」

櫻都って金持ちが通ってる私立じゃん。
お嬢様と合コンするってわけかぁ。俺には関係ない話だな。

ズ、ズ……と、ストローを啜った。

「永遠も一緒にどう?って、言われてんだけど」

「え゛……嫌やわ」

「オレも永遠も数合わせなの」

「いやいや、知らんがな。てか、誘っといて数合わせは失礼やろ。愁もそれでようOKしたなぁ」
「ん〜〜。オレはスタバのチケットくれるって言われたから」
「愁の顔面は500円以上の価値あるで。安売りしたらあかん」

聞いてるのか聞いてないのか。愁は「は〜い」と間延びした返事をした。

「永遠はキャンセル…っと」

愁が無垢な瞳で俺を見遣る。

「彼女いるから行けねぇよ」

「だよな。今日どっか寄って帰る?」

「俺はパス。彼女んとこ行って来る」

永遠がひらりと手を振った。

「いってら〜〜」
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