自惚れ、アディクト
子犬がシュンと項垂れたように、俺も眉尻を下げて肩を落とす。初花が俺の前髪を撫でつけた。


「同じ大学行くんでしょ。勉強しようね」

「……ウン」


はんぶん素直に、はんぶんは強制的に頷いた。
テーブルに乱雑に放られた参考書に向かい直す。

「がんばろ」と、初花が言うのでノートをペラペラと捲った。口にはしないが、心のうちでは「やってられねぇ」と、悪態をつく。


「なんちゃらのニジョーってなんだっけ?」

不機嫌まじりに質問した。
答えはわかっているがワザとだ。

「…………」

初花はスマホを見つめたまま。

「なあ、なんちゃらのニジョーがわからない。……教えて?初花ちゃん」

肩に顎を乗せるように、顔を寄せる。キスしそうな距離まで近づいた瞬間、初花がさっとスマホを伏せた。

「……えっと…。この数式には、前のページで出てきたところを当てはめるの」
「…………」
「愛央、答えわかってるよね?」

「ン。ちゅーもダメなんすか」

一拍置いて、初花が首を縦に振った。

「…だって愛央、それ以上のコトもしたい……し」


いやいや、いくら好きでも我慢の限界。
俺だって健全な男子校生なんだわ。

卒業するまであと半年?なげぇ……。

つうか、好きだからその先に進みたいって思うのは、いけないの??

そこからも“ヤりたい・ヤりたくない”の攻防は続いた。


——……で、その日。俺が帰った後、初花は元カレと隠れて会っていた。




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