自惚れ、アディクト
アパートに忘れ物をしたことに気づいた。《取りに戻る》くらいLINEでも送れば良かったのに、俺はそんなこともせず呑気に途中でコンビニに寄ってアパートに向かう。

今日は怒らせたから初花の好きなプリンを買って持って行こうとか。

クソガキらしからぬ、可愛げのあることなんてするんじゃなかったわ。

プリンにコーヒー、アイスも買ったビニール袋を下げて扉を開ける。そこには見知らぬ男物のスニーカーがあり、部屋に踏み入ると浮気現場に遭遇した。

初花の甘ったるい声と、男の切迫詰まった声が混ざり合っている。

あ゛?やってんじゃん。ざけんなよ。

俺の存在に気づいた男が、ご丁寧に服を着直して慌てて走り去るのを、無機質な眼差しで眺めた。残された初花が、肩を小さく震わせながら目尻に涙を溜める。

これじゃあ、アイス溶けるな。

ビニール袋の隙間から覗くアイスのカップは、霜が水滴に変わっていた。


「愛央のこともちゃんと好きだよ。……でも、彼のことも忘れられなくて」

「…………」

「ごめんね」

“好き”とか言っても他の男見るし、俺って言う彼氏がいて浮気するんだ。

「愛央といるのは楽しいけど、このまま一緒の大学に通うことになったら、誰かに取られないか心配で……愛央モテるから」

「…………」

「だから、彼と……ほんとにごめんなさい。浮気は許せないよね」


今までの付き合いは茶番?

怒りすら湧かない。初花が続ける言い訳は頭上を擦り抜けていく。


「バイバイ。初花ちゃん」


アイツと楽しくやっとけば?
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