自惚れ、アディクト
翌日の朝———…美園さんからメールが届いた。

タイトルは『新連載のロゴにつきまして』

『平素よりお世話になっております。
星凪出版 編集部の美園です。

この度は、新連載のロゴにつきましてお引き受けくださり、ありがとうございます。
早速ですが打ち合わせをお願いしたく存じます。

下記の日時にて、神崎様のご都合をお聞かせいただけますと幸いです。』

懇切丁寧な文章が延々と並ぶ。ビジネスメールの典型文かよ。おまけに末尾の署名まで抜かりない。
“へぇ、こう言う子なんだ”と。俺はある意味、感心した。

『星凪出版 編集部 美園 結莉』


「…………」

最後まで読み終えて一言。

「いや、真面目ちゃんかよ」

「神崎くん〜〜?なんか言った?」

向かいのデスクから、コンパクトミラーを片手に持った先輩が顰めっ面を覗かせた。

「なんも」
「そう」


提示された幾つかの候補日を眺める。
早いに越したことはないので『今週の金曜は如何でしょうか。』と、送信した。ちょうど、話し声が聞こえて。通りがかった後輩に声をかける。


「なあ、金曜って空いてる?」
「……はい!」

「十時に星凪出版で打ち合わせ入ったから、同行してくんない?」

「一緒に行っていいんですか」

「ああ。最近、オマエ頑張ってるしな」
「ありがとうございます…!わぁっ。嬉しいです」


後輩が嬉しそうに頬を輝かせる。
ふ、と口角が緩んだ。資料の準備や当日の流れを伝えていると、メールボックスに新着メッセージが放り込まれていた。

差出人は美園結莉。
改めて見ると、綺麗な名前だと思った。

『承知いたしました。当日は、午前十時に花菱とお待ちしております。会議室が分かりましたら、改めてご連絡させていただきます。何卒よろしくお願いいたします。』

返さないのも気が引けんな。

『デザイナーも連れて、三人で伺います。よろしくお願いします。』

送信ボタンをクリックする。

彼女の第一印象。“クソ丁寧”
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