自惚れ、アディクト
「そんなことないって。美園の頑張りだろ?」

「いやいや…っ。先輩がいつも丁寧に教えてくれるけんです」

「ハイハイ、謙虚すぎ」


ハンサムくんが続けても尚、美園さんは謙遜する。
一生懸命、首を横に振る仕草はまるで、子ウサギみたいだ。

こう言う、ちいさくてかわいいキャラ流行ってんだよな。…なんつったっけ?


二人のやり取りを聞きながら考えに耽ると、不意に視線が絡まった。


「…………」
「…………」

雪のように白い肌が、ゆっくり朱色に染まる。
シンプルなピアスを装飾した耳先もしっかりと赤い。美園さんが手帳で口元を隠しながら、か弱い声音を落とした。


「す、すみません」
「あ゛〜…いえ」

「…………つい、方言が出ちゃって」

「彼女、関西出身なんです。な、美園」


と、ハンサムくんが横からすかさず言って。彼女は、こくこくと頷く。隣の先輩は「え!?ホントですか?わたし、実家が大阪なんです」そう、嬉しそうに声を弾ませる。「中学まで大阪に住んでました」と、美園さんが、また微笑んだ。

胸の奥に引っかかっていた違和感が、美園さんの一言で確信へと変わっていく。

関西。方言。
照れると俯く癖。ふわりと赤らむ頬。

ぼやけた記憶が輪郭を帯びた。


——あおにい、勝手に部屋入って来ないでよっ

——うるせー。オマエがいんの知らなかったんだよ

——も〜〜…っ。結莉ちゃんびっくりしてんじゃん!

———は……?結莉?

———ほら、わたしの隣にいる超絶可愛い子!

———美園結莉ちゃんって言うの。櫻都の一年で、バイト先が一緒なんだ


……あ。
昔、会ったことあるわ。
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