自惚れ、アディクト
デスクには作りかけの資料、伝言メモ、開きっぱなしの単行本がそのままに放置されている。パソコンの通知にはメールが何件か。付箋に書き出した『今日のやることリスト』は、誰かが乱雑に置いた回覧の山に埋もれていた。
椅子に浅く腰を掛け、束の間の休憩を取る。
インスタも通知が届いていて。タップすると推しの投稿が飛び込んだ。
キラキラ王子様のI'mの桜志くん。今、人気絶大なアイドルグループのメンバーだ。その中でも、桜志くんは群を抜いて人気が高く、端正な顔に柔和な笑顔で男女問わず、多くのファンを虜にしている。
I'm公式のアカウントには《髪染めたよ》の文字。
久しぶりに黒髪へ戻した桜志くんが、画面いっぱいに映っていたの。
わ、わ…。……わっ!かっこいい〜〜…っ。
ピンク髪も天才だったけど、黒髪も大天才だ。
迷わずハートを送った。
甘いものを食べなくても、糖分がたっぷりで疲れが吹っ飛ぶ。桜志くんは目の保養であり、癒しだ。
「(ハートいっぱい送れたらいいのに…)」
赤く染まるマークを眺めて。む、と唇を尖らせた。
「みゆりん」
隣のデスクに座る先輩が、私に身体を向けた。
“みゆりん”とは私のこと。美園結莉で「みゆりん」
綿飴みたいにふわりとした可愛い呼び名で、お気に入り。
「打ち合わせどうだった?」
「…ぁ、あの無事に終わりました」
「完璧だった」
頭上から低く落ち着いた声が降ってくる。
「!!」
振り返ると花菱先輩が立っていた。
「あ、花菱くん」
「ん。決裁な」
と、バインダーを私に手渡した。それを受け取る。
「そっかぁ。みゆりん凄いね!お疲れ様」と、先輩が労いのチョコを掌に乗せてくれる。
「夜遅くまでずっと頑張ってたもんね。今日は定時で上がりなよ〜」
これまでの過程を認められたような気がして、こころがくすぐったい。
「ありがとうございます」
一際、大きな声が出た。
「アッ…」と。自分でも驚いて、少しだけ目を瞬かせる。そんな私を見て、花菱先輩がくすりと笑った。
椅子に浅く腰を掛け、束の間の休憩を取る。
インスタも通知が届いていて。タップすると推しの投稿が飛び込んだ。
キラキラ王子様のI'mの桜志くん。今、人気絶大なアイドルグループのメンバーだ。その中でも、桜志くんは群を抜いて人気が高く、端正な顔に柔和な笑顔で男女問わず、多くのファンを虜にしている。
I'm公式のアカウントには《髪染めたよ》の文字。
久しぶりに黒髪へ戻した桜志くんが、画面いっぱいに映っていたの。
わ、わ…。……わっ!かっこいい〜〜…っ。
ピンク髪も天才だったけど、黒髪も大天才だ。
迷わずハートを送った。
甘いものを食べなくても、糖分がたっぷりで疲れが吹っ飛ぶ。桜志くんは目の保養であり、癒しだ。
「(ハートいっぱい送れたらいいのに…)」
赤く染まるマークを眺めて。む、と唇を尖らせた。
「みゆりん」
隣のデスクに座る先輩が、私に身体を向けた。
“みゆりん”とは私のこと。美園結莉で「みゆりん」
綿飴みたいにふわりとした可愛い呼び名で、お気に入り。
「打ち合わせどうだった?」
「…ぁ、あの無事に終わりました」
「完璧だった」
頭上から低く落ち着いた声が降ってくる。
「!!」
振り返ると花菱先輩が立っていた。
「あ、花菱くん」
「ん。決裁な」
と、バインダーを私に手渡した。それを受け取る。
「そっかぁ。みゆりん凄いね!お疲れ様」と、先輩が労いのチョコを掌に乗せてくれる。
「夜遅くまでずっと頑張ってたもんね。今日は定時で上がりなよ〜」
これまでの過程を認められたような気がして、こころがくすぐったい。
「ありがとうございます」
一際、大きな声が出た。
「アッ…」と。自分でも驚いて、少しだけ目を瞬かせる。そんな私を見て、花菱先輩がくすりと笑った。