自惚れ、アディクト
午後の業務も山積みだ。
単行本の確認に、持ち込みの原稿対応、作家さんへの電話や、花菱先輩に頼まれたアンケート結果の集計と少女漫画の月刊誌の仕事は多岐にわたる。
グロスを塗り直すために、ポーチを抱えて化粧室まで行ったところ「美園さんがさ」と、私の名前を出す声が聞こえ、入口付近で足を止めた。
聞き馴染みのある声は、私の向かい側の班に所属する同期たち。会話が否応なしに鼓膜へ滑る。
「ちょっと可愛いからって、調子乗ってるよね。花菱先輩に色目使ってんじゃないの?」
「ね!わかる〜。ヘラヘラ笑ってムカつく」
「よね、なんかムカつくわぁ。花菱先輩と付き合ったらどうしよ…」
「それはナイでしょ。大して仕事も出来なさそうなのに……。あーあ、わたしも花菱先輩の班が良かった」
胸元に寄せたポーチを、強く握った。化粧室に入ることもできずに踵を返した。二人の笑い声が、耳に張り付いて離れないでいる。頭をぐるぐると回る。
「(そんな風に思われてたんだ。……なんだか、苦しいな…)」
普段の態度から、陰口を言われているのは薄々気づいていたの。けれど実際、その場に出くわすと胸の奥がひりひりと痛い。
「(考えるのやめよう。気にしたって、なにも変わらないもん。……泣くのも、だめ)」
———ヘラヘラ笑って
突き刺さる言葉の塊が、またこころに深く残る。
ふにゃ、と緩んだ唇の端をきゅっと結んだ。
単行本の確認に、持ち込みの原稿対応、作家さんへの電話や、花菱先輩に頼まれたアンケート結果の集計と少女漫画の月刊誌の仕事は多岐にわたる。
グロスを塗り直すために、ポーチを抱えて化粧室まで行ったところ「美園さんがさ」と、私の名前を出す声が聞こえ、入口付近で足を止めた。
聞き馴染みのある声は、私の向かい側の班に所属する同期たち。会話が否応なしに鼓膜へ滑る。
「ちょっと可愛いからって、調子乗ってるよね。花菱先輩に色目使ってんじゃないの?」
「ね!わかる〜。ヘラヘラ笑ってムカつく」
「よね、なんかムカつくわぁ。花菱先輩と付き合ったらどうしよ…」
「それはナイでしょ。大して仕事も出来なさそうなのに……。あーあ、わたしも花菱先輩の班が良かった」
胸元に寄せたポーチを、強く握った。化粧室に入ることもできずに踵を返した。二人の笑い声が、耳に張り付いて離れないでいる。頭をぐるぐると回る。
「(そんな風に思われてたんだ。……なんだか、苦しいな…)」
普段の態度から、陰口を言われているのは薄々気づいていたの。けれど実際、その場に出くわすと胸の奥がひりひりと痛い。
「(考えるのやめよう。気にしたって、なにも変わらないもん。……泣くのも、だめ)」
———ヘラヘラ笑って
突き刺さる言葉の塊が、またこころに深く残る。
ふにゃ、と緩んだ唇の端をきゅっと結んだ。