自惚れ、アディクト
諸々の業務を終えてひと段落した夕方、新着メールが一件きた。

差出人は神崎さんで、打合せのお礼と見積書がデータで添付されている。
迅速な対応に「わぁ…スゴイ……」なんて、感心して。仕事がデキる人は花菱先輩をはじめ、神崎さんみたいな方なんだろうなぁ。と、うんうん頷いた。

文面を眺め、胸中で首をことんと倒す。

『早速、ありがとうございます。確認しました。引き続きよろしくお願いします。』そう、真面目に送っていいもの?

それ以上、メールが続くことなんてないのに。

「(鬱陶しく思われたらどうしよう)」

身体が強張り、マウスを動かす指先が迷っている。

「(ん〜〜〜〜…)」

カチ、カチ。
本文を拡大して画面と睨めっこ。しゅんと気持ちが沈んだり、モヤ…と心に影がかかるのは、別の取引先の人に「美園さんのメールは、丁寧すぎて背筋伸びますね」と、苦笑されたから。

先日の出来事である。まだ、記憶が新しい。

「(…………ヨシ)」

悩んだ末、やっぱりお礼は必要だからと、神崎さんへ返信する。送る前に、何度も読み直してからボタンを押した。

肩の力がふっと抜けた。同時に、再びインスタの通知が響くの。

珍しく桜志くんから二回目の投稿。しかもストーリー付きで。
私は桜志くんの特大サービスに、ハートマークをタップして“ありがとう”“応援してます”を伝える。

桜志くんかわいいなぁ。

爽やかさと、可愛さに悶絶し蕩けていると、続けてLINEがピロンと軽やかに鳴った。

《I'mの神戸公演当たったよ〜!》

いとちゃんだ…っ!

いとちゃんは高校時代のバイト仲間。
高校は違ったけれどすぐ仲良くなって、今もこんな風に連絡を取り合ってる。ちなみに、いとちゃんもI'mのファンです。(推しは別のメンバー)

《えっ!?すごい!》

おめでとうのスタンプもお届けする。

それから、もうひとつ。

《今日、お兄さんと仕事で会ったよ》

と、一応……ほうこく。
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