自惚れ、アディクト
「あの〜…先輩」

浮き足立った様子で顔を覗かせるのは、前回の打ち合わせに同席した後輩だ。

「また、星凪出版行くんですよね」

「そうだけど、なに?」

「一緒に行っていいですか」

ふにゃふにゃ、と頬を緩ませきっている。

「(あ〜〜〜…ナルホドな)」

美園さんのこと、散々「かわいい」とか「彼氏いるんですかね」とか言ってたっけ。

「今回は連れて行かん」

「えっ!?」

「俺だけで間に合う用件だから」

「……ハイ」

⸝⸝꙳

翌日、星那出版で美園さん、花菱の二人と打ち合わせをした。今回受けた依頼は単行本の帯デザイン。必要な確認を済ませ、スケジュールを組んだ。

花菱は次の打ち合わせがあるからと、早々に退席して、俺はひとりになった彼女に声をかける。


「美園さん」
「はい」
「この間のロゴ、初稿出来上がったんでメール送りますね」

美園さんの表情が一気に柔らぐ。
嬉しそうに二重の大きな瞳が笑った。

「ほんまですか?わぁ〜〜、楽しみです。早く先生にも見てもらいたいなぁ」

“ただの”ロゴひとつで、こんなにも喜ばれるのははじめてで。

「…っ!すみません、方言が出てしまい…気をつけます」

「いいんじゃない?俺といるときは」

「?」


頭を撫でようと、伸ばしかけた掌を引っ込めた。
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