自惚れ、アディクト
美園さんへ送った初稿の修正が入り、一週間が経った。他の案件の締め切りもいくつかあり、多忙な日々を過ごしている。とは言いつつ、息抜きも必要で。

誘われれば『大学の同期会』改め、合コンに参加したし(都合の良い相手も見つけた)セフレとも会った。働きながらしっかり遊ぶ悪い大人だ。

だけど…

「わりぃ、萎えた」

昨夜、居酒屋でナンパされた子に、ホテルでそれを伝えたら、号泣と罵倒のオンパレードを受けた。

あーあ。いつもの調子が戻らん。

⸝⸝꙳

「美園さん来られました」

受付から内線で報告があった。
今日は、美園さんがロゴデザインの修正のことで、ウチに来てくれる。「先生の仕事場に行く予定があるので、帰りに寄ってもいいですか?」そう、電話を受けたのは今朝の出来事。

急遽、予約した会議室の一角。担当デザイナーの先輩と三人で、修正箇所を具体的に確認した。
今回は三校で済みそうだ。先輩が『よっしゃ』と小声で拳を握ったので『お疲れさまでーす』と、労いを送った。

それから雑談が始まる。先輩と美園さんの会話が弾むのを俺は、ただ眺めている。


「最新話、読みましたよ」

先輩が伝えるのは、美園さんが花菱のサブ担でついてる少女漫画の感想。

「エッ。ほんとですか?ありがとうございます」

「今まで、わたし圧倒的に当て馬派だったんですけど、ラストのとこでヒーローに持ってかれました」

「……!わかります…っ!あのシーン最高でしたよね」


花が咲いたみたいに、ふわ…と、美園さんのかんばせが綻ぶ。

先輩とは同じ関西圏出身の共通点もあり、すっかり打ち解けたようで、笑顔が多い。
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