自惚れ、アディクト
「少女漫画って、ヒーローと当て馬で女子の好みわかれるから面白いですよね。美園さんはどっち派ですか?」

ふたりの間に割り込むことはしない。
顎に掌を乗せて、美園さんの柔らかな表情を、静かに見やる。


「…………(やっぱ、出会った女の子の中でダントツに可愛いわ)」

なんて。

「私はヒーロー派です」

「お〜〜!ナルホド…!美園さんの好みがわかった気がする」

「……ほ、ほんとですか」

……でも、このタイプは俺と遊ぶような子じゃないんだよな。

「(すげえ偏見だけど、大学から付き合ってる彼氏いそうだし)」

つうか、いとから「手出すな」とか「結莉ちゃんを弄んだら、あおにいと絶縁するから」って、散々言われてんだった。

「美園さんは王子様系が好きなんですね〜〜」
「ふぇ…っ」

先輩が、美園さんのスマホカバーに挟まれているアイドルのステッカーを指摘する。

「桜志くんなんて、正に王子様じゃないですか」

「アッ。……はい、そうです」

“そうです”は、弱々しい音で落とされた。
美園さんが一拍置いて続けた。

「私は一途なひとが好きです、かね」

「はい、神崎は消えた」

先輩が俺の肩に手をかけ「ドンマイ」と、愉しそうに眉尻を下げる。

「うっせぇ」


軽口を叩いた。先輩が「ごめーん」と、謝るが、その声には反省の色など全くない。美園さんは意味を察した様子で、俺から視線を外して俯き加減になる。

色白の頬が、ゆっくり朱色に染まるのがわかった。

「(かわいいポイントいち)」

胸中で勝手にポイント制にした。
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