自惚れ、アディクト
カリンと別れた翌日の朝。
LINEの通知が軽やかに鳴った。

《あおくん、別れたの🥺?》

差出人は二年の先輩(サッカーの元マネ)から。

「(どーしよっかな)」

返事をしない一拍の間に、シュポッと次のメッセージが浮かび上がる。

《今日、遊ぼ♡》

「……………」

テキトーなスタンプを送りつけた。そこへ、頭上に永遠の柔らかな関西弁が降ってきた。


「なあなあ、愛央ちん」

呼ばれて顔を向ける。

「別れたって聞いたけど、ほんまなん?カリンちゃんのクラスの子が言うてたで。てか、インスタのストーリーに本人が背景真っ暗にして載せてたわ」

「おう」

「“おう”て……。えらい、あっさりやなぁ」

だって、未練ねぇし。フッたのは俺だし。
いちいち傷心してらんねぇじゃん。

そんなことより、を言いかけて。永遠に掌を見せた。

「永遠、数学の宿題見せて」
「昨日のうちにやりなされ〜〜」

ほい。と、ノートが渡される。
ページを捲り「うわ…範囲広すぎじゃない?」と、文句を垂れた。

「ほんまにこの子は」

まあるい円を描いた溜め息が俺に向かって放たれる。

「…なに」

「彼女は大事にせなあかんよ」
「へいへい」
「聞いてへんなぁ」

昨夜、四歳上の兄貴にも言われたので、これも耳にタコができるほど聞いた。紙パックのミルクティーを飲む。ゲロ甘くて喉が焼けそうだ。

カリンが好きだったな。とか、思ってみたり。

「ありがとねー。永遠クン」

「はあ」

呆れ果てる永遠へ、口角を持ち上げて不敵に笑った。

「一途な兄貴や永遠とは違うんだから、仕方ねぇの」

「そこ、自慢するとこじゃないで」

「はーい」

「……愛央ちんの将来が心配やわ」


今度は一緒にいて疲れない子がいい。
束縛もなくて我儘も言わないような。

「(年上とか良さそう)」

理想は高く。だけど期待は薄く。

永遠や兄貴に口煩く言われながらも、一ヶ月もしないうちに彼女ができる———…が。
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