思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「私が、お持ちします」
「気にしなくて、いいのよ」
「しかし……」
「これだけは直接、あの人に渡したいの」

 片手が塞がっている状態では、襲撃者を追い返せない。
 そうした危惧もあり、無理強いは止めたようだ。
 彼は渋々、了承してくれた。

(相手がリガルドであれば、誰に何を渡すつもりなんだとしつこく問われて、説明を終えるまでに長い時間がかかっていたでしょうね……)

 護衛騎士がヴァドリックに変化してから、幼馴染がいなくなった寂しさを感じるのではないかと危惧していたが――。
 不思議と、そうした想いには苛まれなかった。
 それはやはり、1日の大半を新たな護衛騎士や王配と一緒に過ごして、リガルドの姿を思い浮べるほど暇ではないことも大きいのだろう。

「ありがとうございました」

 ぶっきらぼうな店主の挨拶を聞きながら、2人は武器屋を出る。
 そのあとは再び宛もなく、きょろきょろと辺りを見渡しながら街の散策を続けた。
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