思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(あいつも僕らと同じ、自分のことしか考えていない。嘘つきじゃないか……)

 仲よさげに話す兄弟に対する憎悪が、ますます高まっていく。
 しかし――。
 どれほど彼に憎悪を募らせたところで、ガルドラを外の世界へ追い出すのは不可能だ。

 すっかりスラム街の中心人物と化した彼には、味方が山ほどいる。
 自分が「なんであんな奴の言う事を聞くんだ」と異を唱えたところで、命を危険に晒すだけだ。

(かかわらなければ、苦しい思いも、悲しい思いもしなくていい……)

 こうして少年は自ら望んでガルドラが形為する輪から外れ、彼らが楽しそうに生活する姿を、遠くからで密かに見守っていた。

 ――そんな少年に転機が訪れたのは、それから4年後。
 11歳の時だ。

「きひひ。こりゃ、磨けば光る、優良物件を見つけましたぞ!」

 アツパイダと名乗った男は、伯爵家の貴族だという。
 男は少年の容姿を上から下まで眺め、含みのある笑みを浮かべる。
 その後何を思ったのか、こちらに向かって手を差し伸べた。

「あなたを、貴族の息子にしてあげましょう」

 少年は何を言われているか、さっぱり理解できなかった。
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