思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「今日までのことは、すべて忘れなさい」

 モルデント伯爵のもとに連れてこられたリガルドは、肩をポンっと叩かれたあと、「それができないなら君の命はない」と脅迫を受けた。

 こちらをじっと見つめる生気の籠らぬ瞳が、恐ろしくて堪らなかった。
 しかし、自分には帰る場所など存在しないのだ。

(嫌われるわけには、いかない。伯爵に見捨てられたら、終わりだ)

 少年はしっかりと頷き、立派な伯爵令息になるための教育に身を投じる。
 剣術から始まり、マナー、知識、読み書き――。
 血の滲むような努力の末、リガルドはどうにか養父から人前に出る許可を得た。

「殿下は、寂しい方だ。年頃の子どもが笑顔で近づけば、コロッと騙される。懐に入り込み、絶対的な信頼を寄せられるようになれ」

 こうしてどうにかモルデント伯爵家の息子として正式に認められた少年は、養父の密命を受け――蝶よ花よと育てられた姫君と対面する。

「私、ずっと友達がほしかったの!」

 キラキラと光り輝く笑顔を見せる、1つ年下の麗しき少女。
 そんな彼女を目にした直後、愕然とした。
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