思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(彼女は、ガルドラと同じ。本物だ……)

 生まれた時から幸福を約束され、光の道だけを歩み続ける存在。
 誰にも知られずに命を落とす運命を定められてきた自分とは、何もかもが違う――。

(僕は、なんて大役を任されてしまったのだろう……)

 養父は「彼女に取り入り、王配となる以外に己が生き長らえる道は存在しない」とはっきり宣言している。

 しかし――。

 その命令は、己にとって、あまりにも荷が重すぎた。
 リガルドは直視できないほどに眩しく光り輝くガルドラが視界に入るのが嫌で、目を背けたのだから。

 一生あの男と同じか、それ以上に目が眩むような存在と肩を並べて生き続けるなど、冗談ではなかった。

(楽しくもないのに笑みを浮かべ、何もかもを投げ出して逃げ出したい気持ちを必死に表へ出さないように押さえつけて、自分を偽り続けて生きるなんて……僕には無理だ……)

 リベルラと初めての邂逅を終えたあと、リガルドはようやく己の罪深さを自覚した。
 しかし――。
 この選択が間違っていると気づいても、もうあとには引き返せない。
 自分はもう、スラム街の“名無し”ではない。

 モルデント伯爵家の、リガルドなのだから。

 たとえどれほど無理だとわかっていても、無理やり己を奮い立たせて平気なフリをし続けるしかないのだ。
 己が、生き続けるために――。
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