思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「貴族に、私たちの何がわかるの?」
「あんたにガルドラ兄ちゃんの代わりなんて、できるわけがない!」

 スラム街から姿を消してから、11年も経過している。
 空気と同化していた“名無し”がリカルドと同一人物など、誰もわからない。

 同じ境遇であった時すら、彼らと交流を深められなかったのだ。
 自分だけ立場が変化した状態で言い寄られたところで、住民たちの信頼を得られるはずがない。

(ああ……。やっぱりここは、僕の居場所ではないんだ……)

 ガルドラはこの場にいなくても、彼らの心に入り込み、絶対的な信頼を寄せられている。
 それは、あの男が圧倒的なカリスマ性を持っていたからなのだろう。

 ――リガルドには、何も無い。
 地位も、名誉も、腕っぷしの強さも、何もかもが――。

 モルデント伯爵家の後ろ盾がなくなれば、膝を抱えて蹲ることしかできない。
 引っ込み思案で孤独な、どうしようもない成人男性でしかなかった。
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