思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(夫の不安を煽るのも、考えものね……)

 リベルラは夫がこの場にいないのをいいことに、深い溜息を吐き出した。
 普段は飄々と掴みどころのない性格をしているが、それはあくまでどうでもいい人間に対してだけだというのがわかりつつある。
 どうやら彼は、妻に対する執着心が強いようだ。

「陛下。今はお部屋で、お休みください」

 外に出て公務をこなそうとするたび、夫から「妻を外出させるな」と命令を受けたヴァドリックから難色を示されるのだ。

(最初は一体何故なのかと、不思議で堪らなかったけれど……)

 何度もこのやり取りを繰り返せば、護衛騎士も口を滑らせる。

「殿下が、女王の身を案じております」
「夫が……?」
「我々以外、お目通りを許すなと命令を受けました」

 ヴァドリックが女王ではなく、王配の指示に従っていると懺悔したのだ。
 この決定に、黙っていられるはずがない。
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