思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(上下関係を、はっきりさせないと……)

 リベルラは気高き女王たる姿を見せつけるように胸を張ると、勢いよく声を吐き出した。

「この国を統べるのは、この私よ」
「存じております」
「出しなさい!」
「陛下はこれまで、働きすぎておりました。私室で、ごゆるりと羽を休めるのも悪くないかと……」

 しかし、ヴァドリックも王配からの命令を受けた身だ。
 どれほどこちらが騒ぎ立てようとも、出入り口に立ち塞がる。
 その姿は、まるで1人では持ち上げられないほどに大きな岩のようだ。

(こうなったら、強行突破しかないわ……!)

 リベルラはヴァドリックに体当たりを仕掛け、外に出ようと画策する。

「ぐぬぬ……」

 だが、鍛え抜かれた体躯を持つ彼は、女性の力ではびくともしない。
 結局どうにもならず、渋々寝台の上へ寝転がる。

(ご丁寧に、暇つぶしまで用意しちゃって……)

 こうしてリベルラは、ベッドサイドに積み重なった本を読んで、暇を潰す羽目になった。

「よぉ。女王陛下。疲れは取れたかよ?」

 夜になると、本来自分がやるべき外交を終えた夫が声をかけてくる。
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