思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「は、離しなさい……!」
「人がせっかく、無理やり身体へ教え込むのを我慢してたっていうのに……」

 しかし、鍛え抜かれた体躯はびくともしない。

「悪い子には、お仕置きをしなくちゃな?」

 口元だけを綻ばせた夫の姿を見捉えた直後、リベルラはすぐさま呆然と立ち竦む護衛騎士に助けを求めた。

(う、裏切り者……!)

 しかし、彼は「自分の手に負えない」と無言で首を左右に振り、その場から姿を消してしまった。
 怨みがましくヴァドリックの背中を見つめる姿は、今のガルドラからしてみれば、熱視線を送って誘惑しているようにしか見えなかったのだろう。

「余所見なんざ、いい度胸だなぁ?」

 夫は嫉妬に駆られ、女王の言うことを大人しく聞く忠犬から狂犬へ変貌を遂げる。
 こうなると事前に予測は出来ていたはずなのに、未然に防げなかった。
 これは明らかに、自分のミスだ。
 リベルラが猛省して唇を噛み締めていたところ、ガルドラは不敵な笑みを浮かべて口づけてきた。
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