思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「騎士団長……じゃなかった、ヴァドリック卿!」
「少し、よろしいでしょうか?」

 ヴァドリックを伴って外交を終えた直後のことだった。
 執務室に戻る道すがら、2人組の騎士からドアノブに手をかけ、扉を開いた護衛騎士が呼び止められる姿を目撃した。

 リベルラは彼らが自分には用がないのだと悟り、当然のように室内へ一歩足を進める。

「見回りの際、モルデント伯爵が口論をしている姿を何回か見まして……」
「その内容が、穏やかではなくてですね……。騎士団長に相談したところ、直接話をしたほうがいいのではないかと言われまして……」
「どんな内容だ」
「王配を始末するとか、なんとか……」

 ガルドラに関係のある話だ。
 確定情報ならともかく、疑念段階では主に聞かせるような話ではないと考えたのだろう。
 こちらが完全に執務室の中へ入ったのを確認し、ヴァドリックは扉を閉めた。
 声を顰められてしまえば、室内にいるリベルラは扉にピトリと全身をくっつけたところで、耳を澄ませてもその先に続く言葉が聞こえない。
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