思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(口づけられたところが、じんわりと熱を持つ。ぽかぽかとあたたかな気持ちに包まれる……)

 リベルラはそれが幸せだと感じた際に抱く感情だと気づき、ガルドラに倣って微笑んだ。
 そんな妻の姿を満足そうに眺めた夫は、不穏な言葉を口にした。

「ご命令に従い、狂犬は番犬に姿を変えるとしますかね……」

 普段の自分であれば、悪だくみをする彼を全力で止めただろう。
 だが――。
 リベルラはあえて、それを聞かないふりをした。
 彼が自分のそばに居続けてくれるのなら、それだけで構わなかったからだ。

(私は女王、失格だわ……)

 リベルラは言いようのない悲しみと自己嫌悪を心の奥深くへ鎮めるべく夫の胸元に顔を埋めた。
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