思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(必要以上に警戒しなくても、いいんでしょうけれど……)

 もしものことがあっては、困る。
 彼がいなくなったあとのことを考えるだけでも、気分が滅入って仕方がない。
 これも全部、モルデント伯爵家の密会を目撃してしまったせいだ。

(何も知らないままでいられたら、どれほどよかったことか……)

 リベルラは額から脂汗を滲ませ、青白い顔で夫を失うかもしれない恐怖に怯えた。

「今からそんな顔して、どうすんだ?」

 彼がこちらの不安を取り除くかのように抱きしめ、ぬくもりを確かめ合う。
 しかし、それだけでは全然足りなかった。

(ガルドラにはもっと、緊張感を持ってほしい。ただ、それだけなのに……)

 その気持ちが伝わらないことに痺れを切らし、思わず声を荒らげてしまう。

「だって……! いつ襲われるか、わからないのよ!?」

 だが、こちらがやるせない思いをぶつけたところで、彼は涼しい顔で肩を竦めるだけだった。
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