思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「お願いだから、間違っても自分は最強だなんて言い触らさないで」
「このまま我が物顔で過ごしたら、どうなるってんだ?」
「今度会う時は、敵になるでしょうね」
「なんだそれ」

 リベルラは本題に入ってから、年相応の明るく元気な態度が鳴りを潜め、王族らしい気品の溢れる口振りで声を発し続ける。

(なんでこんなに、俺へ入れ込んでんだ……?)

 彼女はひた隠しにしてきた己の出自を、知っているのだろうか。
 そんな疑問が一瞬だけ脳裏を掠めたが、すぐに打ち消す。
 貴族の兄が姫と知り合いになっていれば、誰かしらが噂を立てているはずだからだ。

「あなただって、住み慣れた地を守りたいという気持ちくらいはあるでしょう?」
「まーな」
「だったら、私の代わりにこの街の治安を守り続けて」

 ガルドラはこのスラム街にやってきてから、まだ1年しか経過していない。
 自分にとってこの地は、住み慣れた土地でもなんでもなかった。
 この話を聞く限り、彼女はまともな下調べすらもせず、自分へ会いに来たのだろう。
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