思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(どうして……? 私は、リガルドが好きだったはずなのに……)

 ガルドラはこれから、人生を共にする生涯の伴侶だ。
 嫌いになるよりは好きでいたほうがいいに決まっている。
 だが……。

(至近距離で触れ合っただけで、心変わりをするなんて……。絶対に、おかしいわ……)

 リベルラはどうにも自分が抱く不思議な気持ちに納得ができずに、難しい顔をして黙り込むしかなかった。

「これからもあの護衛騎士を、そばに置くのか?」
「気まずい、わよね」
「いい気分はしねぇな」

 馬車の揺れが収まっても、自ら身体を離して距離を取ることなく、大人しくしているからか。
 彼はプラチナブロンドの髪を優しく手櫛で撫でつけると、不満そうな声を露わにした。

(今日、初めて出会ったばかりだと言うのに……。本当に、不躾な人ね……)

 リベルラは彼が野良犬や狂犬と呼ばれている理由を悟りつつ、大人しく受け入れる。

『触らないで』

 そう冷たく言い放ち、己の髪に触れた手を叩き落とさないでいられたのは、彼と険悪な関係を築き上げたところで自分がやりづらくなるだけだと理解していたからだった。
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