思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(やっぱ、兄貴は頼りになるな……)

 正妻がヴァドリックを出産後、屋敷で働く年若いメイドに手をつけて生まれた子ども。
 それが、ガルドラだった。
 8歳までは公爵家の血を引く次男として最低限の教育は受けてきたが、剣術の稽古を受けるうちに、異母兄よりも腕っぷしが強いと発覚。

 このままでは腹違いの次男が公爵家の跡取りとして任命されかねないと恐れた正妻に濡れ衣を着せられたガルドラは、9歳の時にスラム街へ捨てられたのだ。

 ヴァドリックは自分のせいで異母弟が捨てられたという負い目があるのだろう。
 危険を承知で食料やら衣服を両手いっぱいに抱えて、何度かスラムへ差し入れてくれていた。

 ――ガルドラは、身寄りがない子どもたちとは違う。
 その気になればいくらでも反旗を翻し、貴族の息子として生きることが出来た。

 それをしなかったのは――。
 心優しい兄を押しのけてまで、公爵家の跡取りになりたくなかったからだ。
< 184 / 241 >

この作品をシェア

pagetop