思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「世界で一番大切な人が、いなくなるかもしれないのよ……? 冷静でなど、いられないわ……!」
「瞳に涙をいっぱい溜めて、懇願されちまったら……。堪んねぇな……」

 ガルドラはプラチナブロンドの髪を手櫛で梳き、銀色の瞳を優しく和らげる。
 その仕草だけで己が彼に愛されていると実感し、胸がぽかぽかと温かな気持ちに包まれた。

(こうして弱音を吐き出すのも、たまには悪くないかもしれないわね……)

 リベルラは目元に溜まった涙を己の手で拭ったあと、ぽつりと呟く。

「私は、信じているわ。どれほど卑怯な手を使われたとしても、あなたが勝つと……」
「まぁ、2度あることは、3度目あるって言うからな。なんとかなるだろ」

 夫はこれまで2度、リガルドを退けている。
 あちらだって、馬鹿ではない。
 今度こそ遅れを取るわけにいかないと卑怯な手を使い、何がなんでも負かそうと目論む可能性は考慮しておくべきだ。

「約束よ。必ず、生き残って……」
「おう」

 だが――。

 リベルラは、信じている。
 スラム街の狂犬から女王の忠犬と化した彼ならばきっと、己の期待を裏切らないと。
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