思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「正面突破。それ以外は考えられないわ。正々堂々と、勝負を挑むはずですもの」

 しかし、夫の顔色は優れない。
 どことなくこちらを小馬鹿にするかのような口調で、チッチッチッ、と舌を鳴らしながら、人差指を天井に向かって立てると、左右に何度か振った。

「わかってねぇなぁ。あんたが知っているリガルドは、もうどこにもいねぇんだよ」
「じゃあ、どんな作戦を伴ってやってくると思うの?」
「決まってんだろ」

 ガルドラは不敵な笑みを浮かべ、頭上を指差した。

「隠し通路を使う。点検口の、上からだ」

 その直後、ドンドンッと天井の内側から何かを叩く、不気味な音が聞こえて来た。
 リベルラが思わず目を見開いて驚き夫に寄り添えば、ガルドラがさり気なく妻を護衛騎士の元へ避難させる。

「ヴァドリック卿、リベルラを頼む」
「無理は、するな」
「俺を誰だと思ってんだ? 狂犬の本気を、見せてやるよ!」
「ガルドラッ!」

 ガルドラは胸元から短剣を取り出すと、どんなことが起きても即座に対処できるように柄の部分を下唇で咥える。
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