思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「約束はきっちり、守ってもらわねぇとな?」

 自分に敵対心を向ける相手との会話が面白くて仕方がないと言わんばかりに、クツクツと声を上げて笑う狂犬に苛立って仕方ない。

(こいつ……。1回ぶち殺したくらいじゃ、この怒りは収まりそうにないわね……)

 女王らしからぬ口汚い言葉が頭の中に浮かんでは、声にならずに消えていく。
 さすがは、平民として暮らしていた時間が長いだけのことはある。
 彼には女王である己を敬う様子もなければ、気安く話しかけてくるだけでは飽き足らず、こちらをおちょくる余裕さえ見せているのだ。
 黙って受け入れていたら、あっという間にガルドラのペースに巻き込まれてしまう。

(ここでしっかり、釘を刺しておかないと……)

 リベルラはうんざりとした様子を隠さぬまま、男を睨みつけて吐き捨てた。

「あなたが我が国に不利益を齎すような輩ではないとわかるまで、婚儀は保留よ」
「へいへい」

 彼は「闘技大会で勝利し、リベルラの王配となる」のが決まった時点で、満足しているらしい。
 その約束が今すぐ実現しなくても、構わないようだ。
 どうでもよさそうに返事をしたのが、印象的だった。
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