思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
『闘技大会の優勝者だけが、娘を娶れる』

 これまで己は必死に心を殺して、父親の遺言を遂行する努力をしてきた。
 こうして2人きりで馬車に乗って言葉を交わし合っているのだって、その一環だ。

 なのに――。

 こちらの頑張りを無視して、「周りに流されるだけのお飾り陛下」と言わんばかりの反応を示されるのは我慢ならない。
 女王が怒りに打ち震えながら狂犬を睨みつけたところ、彼は不敵な笑みを浮かべて耳元で囁いた。

「ずいぶんと、勝ち気な女王様なことで……。初夜の際にその仮面を剥ぎ取るのが、楽しみだな?」
「な……っ!」

 夫婦になれば、肌を重ね合わせるのは当然だ。
< 25 / 241 >

この作品をシェア

pagetop