思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(自らの評判を、さらに下げる要因にもなりかねないもの。黙ってクロドノルン卿からの報告を、受けるべきよね……)

 リベルラは渋々差し出された資料を受け取り、紙をパラパラと捲る。
 こうして、隅々まで目を通し始めた。

(不審な点は、まったくと言っていいほどにないわね……)

 難色を示す点があるとすれば、スラム街出身と言うだけ。
 素行は悪くないどころか、いい方らしい。

『住人たちから狂犬と呼ばれ、慕われている』

 そんなふうに締め括られた調査資料を確認し終え、騎士団長へ突き返す。
 本人が語った内容と他者から見た男の印象に相違がないとわかれば、それで構わない。
 この報告書の役目は終わりだ。
 本人がこの書類の存在を知る前に、さっさと破棄するべきだろう。

「確認したわ。処分して頂戴」
「承知いたしました」

 書類を受け取った男は恭しく頭を垂れ、そのまま踵を返して立ち去ろうとする。
 そういうところが、彼らしいと思う。

(一切無駄口を叩かぬところが、気に入っているのだけれど……)

 しかし――。
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