思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
 せっかくこうして、彼の方からリベルラの元へ姿を見せてくれたのだ。

(詰所まで自ら足を運んだせいで、訓練の邪魔をするよりはよほどいいわよね……)

 リベルラはあえて、ヴァドリックを呼び止めた。

「まさか、あなたが負けるなんて思わなかったわ」
「油断しました」
「番狂わせを演出するために、わざと手を抜いた……。そういうわけでは、ないのよね?」
「神に誓って」

 さすがは由緒正しきクロドノルン公爵家の血を引く嫡男だ。
 女王の声かけを無視するほど、非常識ではなかったらしい。
 胸元へ手を当て、「神聖な勝負の場で嘘をつくはずがない」と真剣な表情で断言する姿を見たら、これ以上の追求などできなかった。

「そう。なら、いいのだけれど」

 すでに終わりを告げた一発勝負の勝敗は、禁忌とされる特別な力を用いて時を戻さぬ限り変わらない。
 リベルラはこの話を続けるのは諦め、話題を変えた。
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