思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
 笑みを浮かべるのは、いつだって口元だけ。
 藍色の髪色も、冷たい印象を増長させていた。

(こいつが狂犬と呼ばれるのは、こうした態度が原因なのかもしれないわね……)

 彼の目が笑っていないと知るものは、身の危険を感じて近づかないだろう。

(スラム街の人たちから信頼されていたという話は、本当なのかしら……)

 リベルラはなんとも言えない複雑な感情を抱きながら、ガルドラに軽い気持ちで問いかけた。

「その印象を改善しようとは、思わなかったの?」
「周りによく思われたくて自分を偽るとか、ありえないだろ」
「そう、かしら……」

 リベルラにとって、彼の口から紡がれた言葉は衝撃の一言に尽きる。
 自分は「ベゼルノーチェ王国の女王として、相応しき立ち振舞いを心がける」と心に決めていたからだ。

(真逆の考えを持つこの男とわかり合うなんて、本当にできるのかしら……?)

 こちらが不安な気持ちでいっぱいになった直後、彼の顔色が曇った。
 リベルラは一体何事かと言わんばかりに、訝しげな視線を向ける。
 するとガルドラは、どこか言いづらそうに言葉を濁す。
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