思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「な、何よ。その、含みしかない視線は……!」
「いや? こういう格好が好きなら、普段も高潔な女王陛下らしからぬ、露出の激しいドレスを着そうだと思ってさ」
「きょ、今日だけよ! 特別な日だから、使用人たちが張り切ったの!」
「夫婦になって、初めての夜だ。無理もねぇか……」

 彼はどこか遠くを見つめて肩を竦めたあと、再びこちらへ視線を戻す。
 その後、口元だけを綻ばせて手招きをしてきた。

「まぁ、何はともあれ。俺が文句を言うことじゃねぇし……。早速、始めようぜ」

 夫に促されるがまま、おっかなびっくりな様子で一歩ずつ前に向かって歩みを進める。
 その姿はまるで、生まれたての子鹿のようだ。
 彼は慈愛に満ちた視線を向けて、こちらの様子を見守っているのが印象的だった。

(なんなのよ、一体……!)

 ガルドラと面と向かって話をしたのは、闘技大会で優勝した時が初めてのはずだ。

 なのに――。

 彼は、幼い頃からずっと一緒にいた幼馴染と同じかそれ以上に、こちらを優しい瞳で見つめてくる。
 それが、不思議で仕方ない。
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