思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
 ――大好きな人にならば、喜んで身体を曝け出したいと思えるからだ。

 しかし、この場にいるのはかつて想い焦がれた護衛騎士ではない。
 王配になったのは、野蛮な野良犬。
 彼は私の身体を汚すためだけに、好き勝手に弄んでいる――。

(本当は今すぐに、止めなさいと怒鳴りつけてやりたいのに……)

 ここでこの先へ進むのを拒んだところで、無意味なのだ。
 一度夫婦の契を交わしたら、2人が死を分かつまでは離縁できぬ決まりがあるのだから。

 リベルラはこの国で唯一、王家の血を引く直系の娘だ。
 この先、ベゼルノーチェ王国の発展を願うのであれば、高潔なる血を後世まで脈々と受け継がなければならない。

 たとえ2人の間に生まれる子どもに、汚らわしい血が混ざってしまったとしても――。

「しかし、目に毒としか言いようのねぇ格好だな……」
「何度も、強調しないで……っ!」
「もしも俺が負けていたらさ。この姿をあいつに嬉々として見せびらかして、甘い蜜月を交わし合っていたかと思ったら、正気じゃいらんねぇよなぁ?」

 彼はニヤニヤと下衆な笑みを浮かべ、リベルラの羞恥心を掻き立てる。
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