思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「あ、あわ……! あわわ……! わ、私は悪くありませぬ! すべては、モルデント伯爵の指示でして……!」

 モルデント伯爵は、リガルドの家名だ。
 リベルラはできる限り、護衛騎士に自ら声をかけたくなかったが……。
 夫では、詳しい話を聞き出せない可能性がある。

(仕方ないわね……)

 女王は渋々、幼馴染に話しかけた。

「リガルド。あなたは何か、知っている?」
「父とアツパイダ伯爵が、懇意にしている事実はないよ」

 リガルドは余裕の笑みを崩さず、父親と罪人の関与を否定した。

「な! 誰のお陰で、モルデントを名乗れるようになったと思っているのですかな!? 忘れたとは、言わせぬぞ!」

 罪から逃れるためにモルデント伯爵の名を出した男は、その回答に納得などできるはずがない。
 当然抗議をしたが、女王の前で無様な姿を晒す煩い虫を、護衛騎士が駆除せずに黙って見守るなどありえない。
 彼はリベルラが許可を出すよりも早く、自らの意思で腰元の剣を引き抜いた。
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