思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「うん。生きていることを、後悔させてやるね」
「剣を突きつけるのは止めると、言ったではないですか! 約束破りは、重罪ですぞ!」
「黙れ」

 2人は言い争いながら、騒がしく執務室をあとにした。
 残された夫婦の間には、しばらく静寂が訪れる。

(なんとか大きなトラブルに発展せずに済んで、本当によかったわ……)

 リベルラがゆっくりと重ね合わせた指先を離そうとすれば、彼の大きな手によって包まれ、絡め取られてしまう。

「仕事の邪魔をするのなら、嫌いになるわよ」
「そいつは困ったな」

 口ではそんなふうにおどけながらも、繋いだ指先を離す気がないのだから不思議で堪らない。

(本当に、感情が読み取れない人ね……)

 彼の考えを本当の意味で理解し、阿吽の呼吸を見せるまでには、長い時間がかかりそうだった。

「いいのか? あんなことして。嫉妬に狂った男は、何をするかわかんねぇぞ?」
「問題ないわ。彼が護衛騎士でいられる時間は、長くないもの」

 ガルドラは執務室に、壁と同化しかかっている使用人しかいないのをいいことに、不躾な態度を取る。
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