思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
 ――ガルドラがアツパイダ伯爵の不正を暴き、リガルドが彼を牢へ連れて行ってから、3日の時が過ぎた。

「亡くなった?」
「ええ。見張りの騎士からは、食事を喉に詰まらせたと聞いております」

 罪人として裁かれる日を薄暗い部屋で静かに待つだけの男は、人知れず命を落としたそうだ。
 リベルラはヴァドリックからその報告を受け、壁際で何事もなかったかのように口元へ微笑みを浮かべる幼馴染へ視線を向けた。

(アツパイダ伯爵は、モルデント伯爵と交流があると言っていたわよね……。まさか、口封じを……?)

 彼が己の地位を守るためだけに、狂気に走る人間などとは思いたくもない。
 しかし――。
 ガルドラに憎悪を向ける姿は、幼い頃からずっと見てきた心優しき青年の姿からは想像もつかないほどに、苛烈だった。

(掴みどころがなく、チャラチャラとしているガルドラよりも、よほど狂犬に見えるわ……)

 もしかすると、あの姿こそが彼の本性なのかもしれない。
 あんな男をそばに置き続けたら、夫の身に危機が迫る可能性が高まる。

 ヴァドリックの話によれば、2人の力は拮抗していると聞いた。
 一度目はガルドラが勝利したとは言え、二度目も必ず勝てる保証はない。
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