思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
「そいつは卑劣な手を使って、僕を負かしたんだ! クロドノルン卿だって、被害者のはずだろう!? 何故、何も言わないんだ!?」
「私が負けたのは、日頃の鍛錬不足が要因です。陛下の前で、勝者を貶める発言をするなどありえません」
「僕が、間違っているというのか……!?」

 まさか、前評判では決勝戦出場を確実視されていた騎士団長が狂犬の肩を持ち、厳しい言葉をぶつけられるなど思いもしなかったのだろう。
 リベルラは夫の背中からひょっこりと顔を覗かせ、幼馴染の様子を窺う。
 彼は驚きを隠しきれない様子で、緑色の瞳に戸惑いの感情を宿す。

(これは私がはっきりと言わないと、伝わらないわね……)

 リガルドが己の扱いに対して「不当だ」と異を唱えるたびに、どんどんと自分の中での彼に対する好感度が下がっていく。
 このまま長い間幼馴染の気持ちを黙って聞き続け、寄り添うつもりなど今のリベルラには1ミリも存在しなかった。

 だからこそ――。
 元護衛騎士が傷つくとわかっている言葉を、容易に吐き出せる。
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