思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
(ちゃんと、目元も和らげられるのね……)

 彼はいつだって、口元だけを綻ばせる薄っぺらい笑みだけを浮かべていた。
 そんな夫が心の底から笑顔を浮かべられるようになった理由はあるとすれば、邪魔なリガルドを護衛騎士の座から引き摺り下ろすことに成功した喜びか。
 それとも、こちらが思っていた以上に幼馴染に対する愛情を失ったことに気づいたからなのか――。

(それはこれから、彼が見せる反応で察するしないわね……)

 ガルドラが不機嫌になったり、夫婦仲が険悪になったりするよりは、ずっといい。
 リベルラは手のかかる子どもを宥める母親のような気持ちを抱きながら、紫色の瞳を優しく和らげる。

「よしよし。いい子、いい子」

 その後、死んだ目をしながら我関せずを貫く新たな護衛騎士に見守られる中、彼が「もう充分だ」と言うまで猫かわいがりをし続け、頭を撫で続けたのだった。
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