ただいまヒロイン代理中!
 ……いや、待てよ。あのガラケーは、『姫ギャル』って感じで、盛り盛りにデコられていたはず。

 服装はいつもシンプルで綺麗目。

 高校時代には、俺様ヒーローの強引なセリフを書くだけでドキドキしていた、ピュアな蒔田先生が、あんな派手でゴテゴテした物を持っているなんて想像できない。

 それに、先生は小説投稿サイトに作品を公開してたんでしょ?

 じゃあ、何で送信済みメールフォルダの中に、小説が保存されていたの?

 うーん……。次から次へと増えていく疑問で、今にも頭がパンクしそう……。

 もう本人にガラケーを見せて、直接質問してしまったほうが早いんだろうけど……、いいや。

 やっぱりやめておこう。

 ここ最近、夢の中で蓮たち黒龍のみんなと、一緒に文化祭の準備をしたり、遊園地や海に遠出したり、高級リゾートホテルのスイーツを堪能したり……。

 現実じゃ絶対に味わえないような、甘くて、ゴージャスで、ドキドキして――目が覚めると少し寂しくなるくらい、夢の中の時間を楽しんでいるんだ。

 もし、ガラケーを先生に渡してしまったら、この夢の続きが見れなくなってしまうかもしれない。

 本当、私って勝手だな。

 つくづく自分で自分が嫌になって来ちゃうよ……。

 でも、今はまだもう少しだけ。

 この不思議な夢と小説の世界を、自分だけのものにしていたいんだ。

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