花囲い

 事実でないことで盛り上がって、気持ち悪い。

 そのままトイレに寄ってから荷物を取りに席に戻ると、私の机の上に紙パックのミルクティーが置かれていた。

 温度はまだ冷たい。私が愛飲しているメーカーのものだし、美咲がくれたのかなと思い手を伸ばす。

 そしてそれを見つけて、思わずバッと手を引っ込めた。

『先生の手伝いお疲れさま』

 手書きでそう書かれた付箋が紙パックに貼られていた。見覚えのある筆跡に、私はクラクラする頭を抑える。

 多分、普通の子だったら喜ぶのだろう。しかし私は気味が悪くなり、紙パックを教室のゴミ箱に叩きつけて帰った。

 怖い、いやだ、怖い、怖い、いやだ。

 夕飯も喉を通らない。悪夢のせいで寝不足なことも相まって、意識がぼんやりとしている時間が増えている気がする。

「そういえば」

 そんな私を見て、母が思い出したように明るい声を出す。

「今度、うちで一緒に勉強する約束してるんでしょう?」

 私は覚えのないその約束に顔を上げた。
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