花囲い

 私はひゅっと息をのむ。

「どう、して」
「井𡈽くんに聞いたのよ。『沙羅さんがよく飲んでます』って。あんた家だとジュースとか飲まないから知らなかったわ〜。母親よりあんたのこと知ってるのね」

 体の震えが止まらない。
 その日、私は夕食を全部吐いた。

 夜、眠れないままベッドに横になっているとスマホが震える。恐る恐る確認すると、この前とは違う知らない番号から、新しいメッセージが一件入っていた。

『ブロックはつらいからやめてね』

 私は即座に削除画面を開く。メッセージの消去と番号をブロックをし、ハアハアと荒い息を吐く。

 ふと窓を見ると、ひどい顔の自分がガラスに反射していた。

 私は窓にそっと手をかける。暗い住宅街。街灯の明かり。風に揺れる電線。
 誰もいない、いるはずがない。

 それでも私は、窓辺から離れることができなかった。
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