花囲い

第6話 不眠

 その夜、私は眠れなかった。スマホの検索欄へ「不眠 悪夢 相談」と入力する。

 相談窓口のページが並ぶ画面を見つめる。一回電話をかけてみれば、事情を説明すれば、そこまで考えて指が止まる。

 電話したところで何を説明するのだろう。

「優等生の同級生が怖い」なんて、自分でも説得力がないと思ってしまう。

 結局画面を閉じて、眠れない夜を過ごした。

 ――翌朝。私は学校へ行かなかった。制服のまま家を出て、駅とは反対方向へ歩く。

 井𡈽くんから離れたい。ひとりになりたい。ただ、それだけだった。

 公園のベンチに腰掛けて、ひと息つく。平日の午前中だから人はいない。木陰は静かだった。

 スマホが震える。母からの着信だった。出ずにいるとメッセージが送られて来る。

『学校から連絡があったけど今日学校行ってないの?』

 返信しない。続けて着信が鳴る。切れる。また鳴る。その繰り返しで私は電源を切った。

 誰とも話したくない。
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