花囲い
そのままフラフラと駅に向かい、何も考えずに電車に乗った。終点まで行けば、少しは気持ちが晴れるかもしれない。
車窓を眺める。知らない町の、知らない駅。降りたこともないホーム。新鮮な風景に少しだけ頭がすっきりとする。
私は改札を出て、適当に歩いた。
住宅街。商店街。川沿いの遊歩道。どこまで歩いても、知らない景色だった。
ようやく息が楽になる。ここなら井𡈽くんもいない。そう思ったのも束の間だった。
「沙羅さん」
不意を突かれて、全身が凍りつく。
振り返るとそこには制服姿の井𡈽くんが立っていた。