花囲い
家に着くと、母が言った。
「今日は彼氏と帰らなかったの?」
「彼氏なんていないけど」
「見かけたのよ。背の高い男の子と一緒にいるの」
「たまたまでしょ」
「そう?」
母は深く気にしていない様子だったので、私もそれ以上の説明はしなかった。
夕食を食べて、宿題をして、お風呂に入る。髪を乾かしていると、不意にスマホが震えた。
画面を見ると知らない番号からのショートメッセージが入っている。
『今日は遠回りして帰ったんだね』
ぴくりと指先が止まる。何度確認しても知らない番号。間違いメールかもしれないと思って画面を閉じようとしたその時、続けてもう一回スマホが振動する。
『おやすみなさい。髪はしっかり乾かして』
「なに、これ」