花囲い

 表示されるのは知らない番号だけ。送信者の名前は表示されない。私はスマホをベッドに投げて、部屋の隅で壁を背にへたり込んだ。

 このメッセージの送信者は、私が髪を乾かしていることを知っている?
 なぜ、どうして?

 どこかから見ているとでも?

 体の震えが止まらない。私は慌てて部屋の明かりを消して布団を被った。それっきりスマホが震えることはなかった。

 その夜はおかしな夢を見た。

 私はぴったりサイズの箱の中に寝かされていて、体は動かないのに目だけは動く状態だ。

 ただの真っ白な空間をキョロキョロ見渡していると、視界に井𡈽くんの姿が入ってきた。

 井𡈽くんは白い花束を持っていて、嬉しそうに頬を染めて私の胸の上に花束を置く。

 そして私にキスをした。私は動けない。井𡈽くんは私の顔を両手で挟み、口付けをさらに深くする。

 動けない。逃げられない。井𡈽くんの手が私の首にかかった。

「、う……っ」

 井𡈽くんは涙を流す私を見て、笑っている。

< 7 / 43 >

この作品をシェア

pagetop