転生したらひとりぼっちだった私、最強国の冷徹大公に拾われる~不愛想な最強保護者のもとで、稀代の才能が花開きました~
ごつごつとした岩場を過ぎると、やがて森に入った。ドラウグル山は特殊で、岩場もあれば広大な森もある。岩場の洞窟を掘削して造られた坑道の奥には、ドラゴンアイを始め様々な鉱石が豊富に採れる。森には世にも珍しい果実が実り、たくさんの植物が咲き乱れるという。
だから、別名『神の居城』とも呼ばれ、昔は山を手に入れようとする各国の争いが絶えなかったとか。
しかし、竜たちと手を組んだドラン公国は揺るがず、現竜大公シリウス・ドランの代になって、ユルング商会が流通を取り仕切るようになると、各国はドラン公国にひれ伏した。
意気揚々と語るテトラについて森を行くと広場に出た。そこには一体の大きな竜と小さな竜たちが数体、輪になって集まっている。
「あれはなにをしているのですか?」
「ああ、勉強会だよ。大きな竜が先生で、小竜たちが生徒。竜は粗暴に見えるがとても賢い生物でな。ああやって子どもたちに生きる術を教えるんだ」
「へえ。面白いですね」
耳を澄ませてみると、竜の先生がなにかについての講義をしているのが聞こえてきた。
『火の息』とか『氷の息』とか? 私にはちんぷんかんぷんな内容だったけれど、小竜たちは真面目に話を聞いている。
「さてと、わしらの仕事はこの向こうだ。行くぞ」
広場をあとにし、テトラについて奥へ行く。すると、高くそそり立った岩場の中に、大きく升目に仕切られた不思議な場所に出た。
なんとなくマンションの断面っぽいなあ、と見上げているとテトラが言った。
「ここは、竜たちの寝床だよ。まず、彼らの寝床にある藁を交換する。まあ、人でいうところのシーツを交換する感じだな。この作業はだいたい三日に一回だ」
「藁? あのどうやって交換するのですか? 寝床、すごく高いところまでありますけど……」
手を翳して、上を見上げる。数えてみると升目は横に四戸、縦に五戸あり、計二十戸。最上階は首が痛くなるくらい高いところにある。まさか藁を担いではしごで登る、とか……え、これって社会問題になっているいわゆるブラックな……あれ?
「ああ、心配するな。ほら、岩場の横に穴があるだろ? そこに入ると階段があって、全ての階に裏から行けるようになっているんだ。ちょっと大変だが安全だよ」
「そ、そういうことですか。はい、わかりました。それで、今日の仕事はここから始めるのですか?」
「おう。一通りやり方を教えたら、あとはネリーに任せるわ。わしは集落を回って竜たちの様子を見る。お側人の仕事は、こうした竜たちの生活の補佐、そして、困っている時に手を貸すことだ。まあ、竜と契約した者じゃないから言葉はわからないが。長く付き合っていれば、なんとなくは理解できるようになるよ」
「言葉がわからない?」
首を傾げて問うと、テトラは「当たり前じゃないか」と笑いながら岩場の階段に向かう。
タリアも言っていたように、やっぱり言葉がわかるというのはあり得ないことなの?
じゃあ、私は?
「ほら、急げよー。暗くなっちまうぞ」
「あ、はぁい!」
考えている場合じゃなかった。今は、仕事を覚えることが先ね。
私は、慌ててテトラのあとを追うと、必死で仕事を覚えた。
だから、別名『神の居城』とも呼ばれ、昔は山を手に入れようとする各国の争いが絶えなかったとか。
しかし、竜たちと手を組んだドラン公国は揺るがず、現竜大公シリウス・ドランの代になって、ユルング商会が流通を取り仕切るようになると、各国はドラン公国にひれ伏した。
意気揚々と語るテトラについて森を行くと広場に出た。そこには一体の大きな竜と小さな竜たちが数体、輪になって集まっている。
「あれはなにをしているのですか?」
「ああ、勉強会だよ。大きな竜が先生で、小竜たちが生徒。竜は粗暴に見えるがとても賢い生物でな。ああやって子どもたちに生きる術を教えるんだ」
「へえ。面白いですね」
耳を澄ませてみると、竜の先生がなにかについての講義をしているのが聞こえてきた。
『火の息』とか『氷の息』とか? 私にはちんぷんかんぷんな内容だったけれど、小竜たちは真面目に話を聞いている。
「さてと、わしらの仕事はこの向こうだ。行くぞ」
広場をあとにし、テトラについて奥へ行く。すると、高くそそり立った岩場の中に、大きく升目に仕切られた不思議な場所に出た。
なんとなくマンションの断面っぽいなあ、と見上げているとテトラが言った。
「ここは、竜たちの寝床だよ。まず、彼らの寝床にある藁を交換する。まあ、人でいうところのシーツを交換する感じだな。この作業はだいたい三日に一回だ」
「藁? あのどうやって交換するのですか? 寝床、すごく高いところまでありますけど……」
手を翳して、上を見上げる。数えてみると升目は横に四戸、縦に五戸あり、計二十戸。最上階は首が痛くなるくらい高いところにある。まさか藁を担いではしごで登る、とか……え、これって社会問題になっているいわゆるブラックな……あれ?
「ああ、心配するな。ほら、岩場の横に穴があるだろ? そこに入ると階段があって、全ての階に裏から行けるようになっているんだ。ちょっと大変だが安全だよ」
「そ、そういうことですか。はい、わかりました。それで、今日の仕事はここから始めるのですか?」
「おう。一通りやり方を教えたら、あとはネリーに任せるわ。わしは集落を回って竜たちの様子を見る。お側人の仕事は、こうした竜たちの生活の補佐、そして、困っている時に手を貸すことだ。まあ、竜と契約した者じゃないから言葉はわからないが。長く付き合っていれば、なんとなくは理解できるようになるよ」
「言葉がわからない?」
首を傾げて問うと、テトラは「当たり前じゃないか」と笑いながら岩場の階段に向かう。
タリアも言っていたように、やっぱり言葉がわかるというのはあり得ないことなの?
じゃあ、私は?
「ほら、急げよー。暗くなっちまうぞ」
「あ、はぁい!」
考えている場合じゃなかった。今は、仕事を覚えることが先ね。
私は、慌ててテトラのあとを追うと、必死で仕事を覚えた。