転生したらひとりぼっちだった私、最強国の冷徹大公に拾われる~不愛想な最強保護者のもとで、稀代の才能が花開きました~
彼らの背後を通りながら、私は洗った野菜をカットする作業を始める。慣れた作業をこなしながら、ふと、先ほどのふたりの話を思い出した。
ドラン公国の竜大公が来る、という話だ。
この広大な大陸の真ん中にある、世界経済中心の地。それがドラン公国である。
神秘的な生物『竜』と共生し、彼らと契約を交わしてその力を借りている国だ。
パルティナ国とは地理的に離れているため詳しくはわからないが、どの国よりも豊かな先進国といわれている。
その頂点に立つ存在が『竜大公』だ。彼に関して表に出ている情報は少ない。
ただ、冷酷で慈悲もない男だという噂を聞くのみで、真実かどうかは定かではない。
そのため、竜とともに神秘的な人物として知られている。
いったい、どんな人なのだろう。私はぼんやりとその姿を想像してみた……が、想像力が乏しいのか、全く思い浮かばなかった。
まあ、誕生祭に王宮に来るのなら、遠目で見ることができるかも。
「ネリー! 手が止まっているぞ!」
「あ、あ、はい! すみません」
考え事をしていたら、アッシュに怒られてしまった。私が慌てて手を動かすと、嘲笑うようにレナードが言った。
「おやおや、お前は相変わらずぼんやりとしているな。アルマ様と同じ年で顔立ちもほんの少しだけ似ているのに、こうも違うとは。ちっとは見習ったらどうだい?」
「は、はあ……」
なにを見習えばいいのやら。神子として存在するだけで作物が実る人と比べられても困るのですけど……なんて言えやしない。
レナードは短気で、口答えしようものなら烈火のごとく怒りまくる。そうなっても面倒なので、私は曖昧に返事をしておいた。
「返答にも歯切れがないったら……まあ、仕方ないか。向こうは竜大公も関心を示すプリマヴェーラで王族、片や孤児の平民、天と地ほどの差があるからね」
「レナード、お前、早く店に戻らないとかみさんに怒られるぞ」
アッシュは軽くレナードを睨んだ。
「おっといけない。じゃあな、アッシュ」
「ああ」
レナードが去り、辺りには忙しく働く使用人の声しか聞こえなくなった。
私はほっとして視線を手元に戻し、野菜のカットに集中する。すると、頭上から声がかかった。
「気にするな。レナードは無駄口を叩くのが趣味なんだ」
「え? あ、はい。気にしません」
「……それならいい」
アッシュは背を向けて去っていった。その背に向けて、私は頭を下げた。
彼は過去に祖母に世話になったらしく、私にもよくしてくれる。王宮厨房の中で、私を気にかけてくれるのはアッシュだけだった。
ただ、私はもとから嫌味も嫌がらせも気にしない性質だ。
ドラン公国の竜大公が来る、という話だ。
この広大な大陸の真ん中にある、世界経済中心の地。それがドラン公国である。
神秘的な生物『竜』と共生し、彼らと契約を交わしてその力を借りている国だ。
パルティナ国とは地理的に離れているため詳しくはわからないが、どの国よりも豊かな先進国といわれている。
その頂点に立つ存在が『竜大公』だ。彼に関して表に出ている情報は少ない。
ただ、冷酷で慈悲もない男だという噂を聞くのみで、真実かどうかは定かではない。
そのため、竜とともに神秘的な人物として知られている。
いったい、どんな人なのだろう。私はぼんやりとその姿を想像してみた……が、想像力が乏しいのか、全く思い浮かばなかった。
まあ、誕生祭に王宮に来るのなら、遠目で見ることができるかも。
「ネリー! 手が止まっているぞ!」
「あ、あ、はい! すみません」
考え事をしていたら、アッシュに怒られてしまった。私が慌てて手を動かすと、嘲笑うようにレナードが言った。
「おやおや、お前は相変わらずぼんやりとしているな。アルマ様と同じ年で顔立ちもほんの少しだけ似ているのに、こうも違うとは。ちっとは見習ったらどうだい?」
「は、はあ……」
なにを見習えばいいのやら。神子として存在するだけで作物が実る人と比べられても困るのですけど……なんて言えやしない。
レナードは短気で、口答えしようものなら烈火のごとく怒りまくる。そうなっても面倒なので、私は曖昧に返事をしておいた。
「返答にも歯切れがないったら……まあ、仕方ないか。向こうは竜大公も関心を示すプリマヴェーラで王族、片や孤児の平民、天と地ほどの差があるからね」
「レナード、お前、早く店に戻らないとかみさんに怒られるぞ」
アッシュは軽くレナードを睨んだ。
「おっといけない。じゃあな、アッシュ」
「ああ」
レナードが去り、辺りには忙しく働く使用人の声しか聞こえなくなった。
私はほっとして視線を手元に戻し、野菜のカットに集中する。すると、頭上から声がかかった。
「気にするな。レナードは無駄口を叩くのが趣味なんだ」
「え? あ、はい。気にしません」
「……それならいい」
アッシュは背を向けて去っていった。その背に向けて、私は頭を下げた。
彼は過去に祖母に世話になったらしく、私にもよくしてくれる。王宮厨房の中で、私を気にかけてくれるのはアッシュだけだった。
ただ、私はもとから嫌味も嫌がらせも気にしない性質だ。