転生したらひとりぼっちだった私、最強国の冷徹大公に拾われる~不愛想な最強保護者のもとで、稀代の才能が花開きました~
それは私の前世に関係がある。自分に別の人生を生きた記憶がある、と気づいたのは祖母が亡くなった次の日の朝だった。
私の前世は、難病のため生まれてから入退院を繰り返し、食制限と運動制限をされ続け、治療の甲斐なく亡くなった十八歳の少女。
生に縋り、死に怯え、ごく普通の生活に強い憧れを抱く哀れな人間だったのだ。
楽しみといえば、入院中にテレビや本で情報を漁ることや、一時退院した時にゲームをすること。
PCで遠い異国の写真を見たり、美味しい料理の作り方を覚えたり、使わぬ雑学を一生懸命学んだりするのも好き。
いつか元気になって、皆と同じように健康で長生きしてやるぞ! それが、私の唯一の生きる希望だった。
だからなのか……誰かに嫌味を言われても、酷(ひど)く傷つけられても、生きているだけで幸せだと感じてしまう。
歩いても走っても胸が痛まず、貧しいながらも好きなものが食べられることが幸せでなくてなんなのか。
まさに『生きているだけで丸儲け』である。
太陽が輝き始める頃、目覚めた王族の方々は揃って朝食を取る。この時間になって、厨房はようやく落ち着きを取り戻す。
ほんのり温かさの残る朝食は、銀のトレイに載せられて運ばれるのを待っている状態だ。
ここから私は、厨房の手伝いから王宮の使用人へと仕事を変える。
とはいっても、厨房で作った朝食を食堂へ届けるだけの仕事で、特に難しくもない。
これだけでお給金がもらえるなら安いものなのだが、手放しで喜べない理由があった。
他の使用人と朝食を食堂に運び、背筋を正して扉の横に控えると、ほどなく王族の方々がやってくる。
パルティナ国王カインと王女アルマ。そして、三歳になったばかりの王子と母親である王妃サリーだ。
国王カインは、先代の退位に際して八年前に即位した。噂によると、王太子であった双子の兄が賊に襲われて命を落とし、その跡を継ぐ形での即位のようだ。当時赤子であった私には知る由もないが、王太子は研鑽を積むために他国を周遊していたようで、帰国の途で事件に遭ったらしい。
王太子は明るく気さくで民に人気があった。だから、彼の死に不信感を抱く人も多かったという。
その話を教えてくれたのは祖母であるが、話をする時の彼女は、酷く顔色が悪かったと記憶している。
私の前世は、難病のため生まれてから入退院を繰り返し、食制限と運動制限をされ続け、治療の甲斐なく亡くなった十八歳の少女。
生に縋り、死に怯え、ごく普通の生活に強い憧れを抱く哀れな人間だったのだ。
楽しみといえば、入院中にテレビや本で情報を漁ることや、一時退院した時にゲームをすること。
PCで遠い異国の写真を見たり、美味しい料理の作り方を覚えたり、使わぬ雑学を一生懸命学んだりするのも好き。
いつか元気になって、皆と同じように健康で長生きしてやるぞ! それが、私の唯一の生きる希望だった。
だからなのか……誰かに嫌味を言われても、酷(ひど)く傷つけられても、生きているだけで幸せだと感じてしまう。
歩いても走っても胸が痛まず、貧しいながらも好きなものが食べられることが幸せでなくてなんなのか。
まさに『生きているだけで丸儲け』である。
太陽が輝き始める頃、目覚めた王族の方々は揃って朝食を取る。この時間になって、厨房はようやく落ち着きを取り戻す。
ほんのり温かさの残る朝食は、銀のトレイに載せられて運ばれるのを待っている状態だ。
ここから私は、厨房の手伝いから王宮の使用人へと仕事を変える。
とはいっても、厨房で作った朝食を食堂へ届けるだけの仕事で、特に難しくもない。
これだけでお給金がもらえるなら安いものなのだが、手放しで喜べない理由があった。
他の使用人と朝食を食堂に運び、背筋を正して扉の横に控えると、ほどなく王族の方々がやってくる。
パルティナ国王カインと王女アルマ。そして、三歳になったばかりの王子と母親である王妃サリーだ。
国王カインは、先代の退位に際して八年前に即位した。噂によると、王太子であった双子の兄が賊に襲われて命を落とし、その跡を継ぐ形での即位のようだ。当時赤子であった私には知る由もないが、王太子は研鑽を積むために他国を周遊していたようで、帰国の途で事件に遭ったらしい。
王太子は明るく気さくで民に人気があった。だから、彼の死に不信感を抱く人も多かったという。
その話を教えてくれたのは祖母であるが、話をする時の彼女は、酷く顔色が悪かったと記憶している。